パンダに骨付き肉は食わせられない
月刊はるる連載企画「春日井パンダ」第一回目掲載号が発行されてます。
僕が春日井市の美味しいメニューを食べ歩き、そのメニューについての裏話などインタビューした上で幸せな顔したパンダをモチーフに描写するという絵画の連載企画。
これを描くにあたってはわりとピンチをくりぬけたのです。
「原田さん、第1回目はスペアリブのお店でおねがいします!」
と早速連絡がある。
お、仕事なのに肉がくえる!というテンションもつかの間、スペアリブ。。。
パンダがブタの骨付き肉をむしゃぶりつく。
骨付き肉を。。
でもそれはそれでひとつの着地点としは逸脱して面白い。
でもやっぱアレだ。
これは日常的なほのぼのした情報誌。
そんなホラー要素を掲載することは冒険過ぎるし、なによりお店の印象も悪くなってしまう。
この際ライオンにしようか?
いや、これは「春日井パンダ」じゃないか。
お店側にももう了承済みとのことで変更するのも先方に迷惑な話で。
お店をチョイスしてくれた担当の若い女性に「なかなかアレですね」というと
「それは全く気付かなかったです!テヘペロ!」と。
いやぁ、これは全く持って
可愛い。
いやいや、ピンチだ。
春日井パンダの第1回目。
つかみの一回目。
パンダがお店のメニューを堪能して紹介するという趣旨のもと、パンダがそのメニューを食べているとこを趣旨通り描写すると絵が死ぬなんて。
でも、僕はわりとこういうピンチにテンションがあがるのです。
「縛りがあったほうが世界が広がる法則」
僕が近年コトある事にいつも唱えてる法則です。
自分の中にあるもの、自分の血だけで創作するのは余程の天才でない限り突き抜けたものは生まれない。
凡人の僕の場合モノを創るには“外的刺激”は必須なのです。
自分が既に持ってるもの(経験)+偶然的に与えられた事柄(ハプニング)
これによって自分の力だけではたどり着かなかった景色が見れるのです。
例えばこうです。
「山を描きたい」と思ったとします。
でも自分が今まで見てきた山なんて形も色も知れてて、当たり障りのないものしか描けない。
そこで国語辞書を取り出し適当なページを開きます。
そして目をつむってページのどこかを指差します。
その偶然選ばれた言葉が「ミルク」だとします。
山とミルク。
一見すれ違いだらけのそのワードふたつ。
これらの間にあるモノを探すのです。
僕の場合はこうなります。
乳がとめどなくあふれるふたつのおっぱいの山。
その源泉から乳の谷間では「乳の川」となり手前では赤ちゃんが川に寄り添います。
ここまでの世界観にたどり着くには僕は天才ではないので自力では無理です。
偶然的な刺激、要するに“ハプニング”をわざと起こすことで世界を広げてゆくのです。
偶然的な刺激、そこにあなたの想い、主張なんてないじゃん!と思われがちですが、それは違います。
自分の経験とそのワードと語り合った“結果”それが揺るぎのない自分自身。
それらと語らえた、それによって引き出されたモノがあるのならもうその時点で“自分”なんです。
大事なのは「しっくりくる」こと。
巨大なおっぱいから湧き出る乳の川に寄り添いたい想いに自分自身がしっくりくること。
僕はもの凄くしっくりきたのです。
これです。
最終的にしっくりくるならそれは嘘のない自分だけの表現です。
自力でたどり着けなかっただけであって、もしかしたら最初から求めていた、心のずっと奥にあったワードだったりもします。あ、こんなとこにあったのね!と。
縛りがあるということは“制限される”という窮屈なものではなく、世界を一層広げてくれるということなんです。
専門学校の授業でこんな課題をしています。
「いつ」「どこで」「誰と(何と)」「誰が(何が)」「何をした」という適当に思いついた五つのワードを学生に紙にそれぞれかいてもらいます。
それを一旦回収し、カテゴリーにわけてシャッフルした上でまた適当に持って行ってもらう。
これ、もの凄い文章できます。
「紀元前2000年、ファミリーマートで、機関車トーマスと、足の裏が、ライブした」
これ級のやつがじゃじゃんできます。
それをイラストにしましょう!って課題。
学生は頭を抱えるんですが、新しいものを模索するキラキラな目もするんです。
自分の中に無かったものに出会うというハプニングで、いままで調べようとしなかったモノを調べて引き出しがどんどん増えるんです。
学生作品を少し紹介。
「2限目、トイレで、餅が、クマで、アメフトした」
「世界の中心で、冬の午後二時に、ゴリラが、キノコに、ジャーマンスープレックスホールドをかけた」
「お昼の12時、トイレで、クマと、戻り鮭が、踊った」
「夕方、頭の上で、きのこの、石膏像が、缶の雨を降らせた」
あーこのまま永遠に紹介したい(笑)
特に取り立てて普段から発言がおかしい学生ではなく、普通の子たちです。
外的刺激と、自分の中にあるものとを相談してしっくりきたことによってでここまでの世界観が作れてしまいます。
僕の場合こんなことしました。
ワンマンライブなどでたまにお客さん全員から適当なワードをもらって、その場で初めてワードを見ながら即興曲をつくったりもします。
これはこれでスリルあります。
その時の動画です。
タイトルは「あまいもの」
あまいものってワードの提供者にはセンスを感じずにはいられません。
企画の横野さんは人前で指をペロペロなめることを我慢して一生懸命お題をめくってくれてます。
脱線具合が半端ないですが話を春日井パンダに戻します。
●パンダとスペアリブというワードの縛り
●パンダはスペアリブを食べてはいけないという縛り
やはり、スペアリブを食べてもいい新キャラを導入する方向で考えました。
そこで考えた結果、“パンダにシルエットが似た少女”を生み出す方向で考えました。
でもやっぱり第1回目の春日井パンダなので、パンダが画面にいないのはおかしい。
取材したお店はフルーツティーももうひとつの看板として提供されてます。
パンダにはフルーツティーを隣で飲んでくつろいでもらおうか。
少女のキャラ設定は悩みました。
黒縁メガネなんかかけたらキャラもたつし、より目元がパンダに近くなると思って一度は描写したのですが、口元に食材、そして今回の場合口周りにタレをいっぱいつけたかったので、メガネを描くと顔周りのデザインがうるさくなってしまい、メガネは消しました。
今後も少女を登場させる機会もあるかもしれないので顔デザインはスッキリしといた方がいいかなと。
で、無事着地。
トトロとメイみたいでなかなかキャラが立っていーじゃないか。
これでパンダが食べられないメニューも対応可能となり、第1回目にて今後の登場キャラも紹介できる形で掲載できました。
加えて僕の作品で近年あまり描写してなかった人物、しかも少女を模索できた。
ハプニングというものは、その場での世界を広げてくれるとともに、今後携帯する表現の引き出しもふやしてくれる。
そしてなにより、スペアリブのお店をえらんでいただいて感謝します!という感情に着地するのです。
今回取材させていただいたお店はCafe&Dine桜さん。
15か国でのシェフ経験を生かしたドイツ人の旦那様が春日井市で勝負した料理は「スペアリブ」
連日大人気のお店です。
こだわった食材と、肉の油をすっきりしてくれる付け合わせなどシンプルでありながら計算された組み合わせは食欲をどんどん促します。
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現在個展開催中です。残りあと少し。
最終日には会場無料ライブもあります。
よろしくお願いします。
【原田章生 展~パン・月・色~】
場所_garage2F gareco【ガレコ】
会期_9/4(日)~10/2(日)
住所_愛知県豊橋市曙町南松原17
TEL_0532-38-8609
営業時間_10:00~19:00
定休日_木曜日
http://www.garage-garden.com/
https://www.facebook.com/garage.gareco
<作家在廊日> ※各日共に13時〜17時
9/4、9/10、9/11、9/17、9/18、10/2
【会場無料ライブ】
10/2(日)
13:00~岩瀬裕美(ぴろみ)
13:35~原田章生
■公共機関でのアクセスについて
駐車場も沢山あり基本的には車が便利です。
公共機関なら豊橋駅からバスが便利です。
豊橋駅から豊鉄バスがでてて「南消防署前」の停留所の目の前がgarageです。
駅から15分くらいでいけます。
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